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医療過誤ついて
No.2 2002年 10月大病院や大学病院でも人命にかかわる事故が起きて深刻な問題となっています。
世の中には、航空機事故やすぐ身近の交通事故のように完全にはゼロにならずに、ある確率で起きる、避けられない事象があります。しかし、事故がおきないように関係者が日夜、ありとあらゆる努力をしていることは卑近な交通機関ばかりでなく、医療の現場においても同じです。
医療に関係する出来ごととしては、大きく分けて、
インシデント: |
冷やっとする、事故につながりかねない出来ごとのことです。大部分の場合、未然に気がついて、事故になるのを防げたケースです。 |
アクシデント: |
いわゆる事故です。防止の機会がありながら、これから説明する色々な要因がかさなりあって、重大な事態になったケースです。軽度なケースでは、早く気がついて、適切な処理をとることにより、原状回復できます。 |
当院では、アクシデントに至るまえに、インシデントを防ぐという姿勢を貫いています。
インシデントに至る要因は社会心理的な観点から次の四つに分類されます。
- 同調行動
みんながしていることだからいいだろうという考えは危険です。日常の医療行動は正しい手順に照らして確認されなければなりません。とくに複数の担当者がいるときには、正しいと思ったことをはっきりと述べて、不用意な同調をしないようにしなければなりません。堂々と意見を言える職場環境作りが重要です。 - 手抜き
複数の人間が絡むと、中には「自分だけが力をぬいても、ほかの人がやるだろうからいいや」と、手を抜く人がでてきます。各人が責任意識をもち、自分の職責をまっとうしなければなりません。 - 権威主義
医師はえらいのだ、看護師や患者さんは服従しなければならないのだという誤った意識が存在しがちです。それぞれの専門・責任を果たすために適切な指示やお願いをすることはありますが、看護師や患者さんが疑問に思ったことは遠慮なく質問することが大切です。盲従することはありません。権威秩序をなくすと放任になってしまいますが、適切なバランスが必要です。 - 集団
チーム行動をとる場合、まとまりが強いチームほど意見の一致を求め、外部からの情報を遮断する傾向、およびカリスマ的なリーダーが出現しやすくなります。その結果各人の健全な判断力が損なわれ、配慮に欠いた行動をしやすくなります。
以上のようなインシデントの原因を社会心理学的な面から排除するようにスタッフの教育を実施しています。
日常の過誤を防ぐためのマニュアル作りと実践の工夫をしています。
薬の服用を間違えないように、薬の形状と名称、効能を示したリストを薬袋と一緒に患者さんに渡しています。入院患者さんには、服用時間ごとにお名前を確認しながら、直接薬をお渡ししています。
薬の処方については、患者さんから、過去に服用したことのある薬、アレルギーの経験、現在ほかに服用中の薬があるかどうか、その薬は何かを確認して、安全を確保しています。
副作用についての情報もお伝えしています。医療スタッフ同士が、そしてスタッフと患者さんが良好なコミュニケーションを保つことによりインシデントを未然に防ぐことが出来ます。結果的には医療過誤・事故の防止につながります。